A Night of Wonder

The 39-th Annual Science Fiction Convention of Japan
Official Internet Web Pages

5(Sat.)-6(Sun.) August 2000 AD
at Pacifico Yokohama, Yokohama JAPAN
English page

Zero-CON

第39回 日本SF大会

西暦2000年8月5日(土)〜6日(日)

於・横浜 パシフィコ横浜


A Night of Wonder セルフ・ライナー&曲目解説

  1. ハロー・トーマス
  2. 鉄腕アトム
  3. 愛に時間を
  4. アメージング・ストーリーズ
  5. 夢中楼閣
  6. 夏への扉
  7. W3
  8. コメント

 

1 「ハロー・トーマス」

   このピアノ曲の導入部に演奏されたのは、誰でも知っている「メリーさんの羊」。
1877年12月6日、トーマス・アルヴァ・エジソンは彼の円筒型蓄音機の最初の実験機に自ら歌ってこの童謡を吹き込んだ。
つまり、みんなにおなじみの「メリーさんの羊」は人類の音楽文化がオーディオ・テクノロジーと初めて出会った記念碑的な楽曲なのだ。

 

2 「鉄腕アトム」

  もちろんSFファンならご存知のアニ・ソンだが、僕は「W3」とともにアレンジしてレコーディングしている。
難波バージョンの「鉄腕アトム」は当初エスエス製薬の鉄腕ドリンクのCM用に編曲されたが、代理店や現場の反応は良かったのに、社長の「アトムはやっぱり吹奏楽だろう」の一言で再編曲したものが使われ、お倉入りとなっていたが、テレビ東京の「タモリの音楽は世界だ」のエンディングの曲当てクイズで復活、さらに僕が現在活動中のインストゥルメンタル・ユニット、野獣王国の2枚組ライヴ盤CD(ブラック・ボックスから発売)に収録され、日の目を見た。

 

3 メドレー「愛に時間を」

  このライヴの為に用意されたメドレー曲の1曲目。 SF Balladsを集めた。

  1「地球の緑の丘」ファースト・ソロ・アルバム「Sense of Wonder」の曲。
アルバム収録曲の前半は中学の時の音楽の先生で、僕のファンダム入り以前の最初のSFを介した友人となった藤原義久先生のオーケストラと合唱のための現代音楽的レクイエム。
藤原先生と野田“宇宙軍大元帥”とは大学の同級生で、この作品を野田氏が「SFマガジン」で紹介したこともある。
それをSFマニアの私めはよくぞ覚えていて、プロ・デビューしたのち、ソロ・アルバムにこれを入れようと思いたち、スコアをお借りして(残念ながら長い曲の一部だけであったが)使わせていただいた。
 ちなみに、僕が初めてスタジオ・ミュージシャンの仕事をいただいたのも、野田氏の日本テレワーク制作の「ひらけ!ポンキッキ」の中の「宇宙船地球号」のレコーディングの仕事で、作曲は藤原先生だった。
 後半の歌の部分は、ご存知元SFM編集長・今岡清氏の名曲で、詞はヘンリー・カットナーである。
僕は手紙を出して詞の使用許可をいただいた。
宇宙詩人ライスリングという名義は、カットナーの希望によるもの。
今夜は後半のみをメドレーに入れました。

  2「Fade Away」トッド・ラングレンのアルバム「ミンク・ホロウの世捨て人」に収録された歌。
曲の冒頭の部分は“君と二人で夕日が消えて行くのを見ていよう”といった、さり気ない日常描写から始まる。
が、歌詞が進むにつれてこの“消え去っていくのを二人で見ていよう”の対象の時間尺度が日常的なものから、歴史的、地球物理的、最後には宇宙的な長さにまでスケール・アップして、この歌の主人公がメトセラ(長命)族である事がわかる、というしかけになっている。 SFソングの傑作。

  3「ヴァーミリオン・サンズ」バグルスのアルバム『モダン・レコーディングの冒険』に収録された曲。
もちろんJ.G.バラードの同名小説をモチーフとしている。

  4「アクロス・ザ・ユニバース」ザ・ビートルズ。 『レット・イット・ビー』収録曲。

  5「アルジャーノンに花束を」氷室クンより10年早かったぞ、といつも自慢する1曲。
僕の1stアルバムのA面1曲目を飾っている。
アルバム中で演奏しているのは村上“ボンタ”秀一(Drs)、小原礼(B) ら、そうそうたるメンバー。

  6「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」日本では“エヴァ”と“宇多田”でグッと知名度が上がってしまったスタンダード・ナンバー。

  7「チケット・トゥ・ザ・ムーン」E.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラの略、ELTの誤植ではない。)のSFコンセプト・アルバム『タイム〜時へのパスポート』に収録。

 

4 メドレー「アメージング・ストーリーズ」

  1「火星人ゴー・ホーム」1st・ソロ・アルバム「Sense of Wonder」のアナログ盤A面ラストの曲。
リズムは当時はやっていたディスコのパロディ。
「Go Home!」と叫んでいるのは、大学の軽音楽同好会の同級生や後輩。
コーラス隊の中には当時、このアルバムを制作してくれたビーイング初のヒット「ポパイ・ザ・セーラーマン」を歌っていたスピニッヂ・パワーのメンバーもいる。
このディスコ・ヒット・グループには、なんとのちの氷室京介もいたりして.....。

  2「BENSON ARIZONA」ジョン・カーペンター&ダン・オバノンのコンビが1974年に制作したまさにカルトな傑作SF映画「Dark Star」のタイトル・シーンに流された挿入歌。
望郷のカントリー・ラブ・ソングの音楽形式を忠実に踏襲しながら、光速宇宙船のウラシマ効果で、故郷に残してきた恋人がおばあさんになってしまった宇宙船乗りの心情を歌った佳曲。

  3「GALAXY SONG」英国の伝説的なお笑い集団モンティ・パイソンが映画、「人生狂騒曲」(原題 MEANING OF LIFE)の中で使った曲。
人生に疲れた家庭婦人ミセス・ブラウンが自分の台所でグチをこぼしているいると、突然冷蔵庫の中から白い燕尾服にシルクハットとステッキの男があらわれて、宇宙の構造について歌って聴かせるのがこの歌。
“自分のことをちっぽけに感じ不安に思ったら、自分がここに生を受けたのがいかに希有な事かを思い出しましょう。
そして、せめて宇宙のどこかには知的生命体が存在する事を祈りましょう、何しろこの地球上にはバカばっかりですからね”とやさしく歌います。

  4「See You Later Alligator」ニュー・オリンズのソング・ライター、ボビー・チャールズの作曲。
ビル・ヘイリーとコメッツの演奏で1956年に米英で大ヒットしたロックン・ロール・ナンバー。
なぜ、このちょっと場違いな曲のフレーズがSFメドレーに入っているかというと──ダン・シモンズのヒューゴー賞、ローカス賞、受賞作「ハイペリオン」のなかに「学者の物語:忘却の川の水は苦く」という章がある。
年齢遡行症にかかった娘と父親の学者の巡礼を描いたこの章で、作者のシモンズは親娘の情愛と年齢遡行症の過酷さを表現するモチーフとして、この陽気なR&R曲の歌詞をとても効果的に使っている。
名作SFに登場したヒット曲ということで、ここではその紹介まで。

  5「Moondance」様々な音楽ジャンルに渡って“月”を題材にした曲は無数にあるが、このヴァン・モリソンのムーンダンスもそんな名曲の一つ。
モリソンのオリジナル・レコーディングでは、歌声にグルーヴ感を内包しつつ描写されるファンタジックな光景が素晴らしい。

  6「メタル・グルー」T.レックス
  7「スターマン」デビッド・ボウイ
  8「スペース・オディティ」同。
70年代グラム・ロック全盛期のスター2人の作品が3曲続く。
一人はいわゆる“夭折の天才”T.レックスのマーク・ボラン。
もう一人はとうとう21世紀まで生き延びて、史上初めて“自分の印税収入を債権化して、債権市場に売りに出す”アーティストになった──ロック・ミージシャンとしては、とんがっているんだか保守の極北にいるんだかよく判らない──変容の人、デビッド・ボウイ大先生。
ともあれこの3曲、時代が輝くことを許したSFヒット曲の名作といえる。

  9「ラジオスターの悲劇」(原題 Video Killed The Radio Star)バグルスのナンバーをもう1曲。
こちらは彼らのデビュー曲で、世間的にはちょうどビデオ・クリップなるものが登場した時期のもの。
(M・ジャクソンのスリラー、覚えてます?!)歌っているテーマもメディアとアーティストの関係性を取り上げている。

 10「Outer Limits」'64〜'65年に米ABCから全49話放映されたオムニバスSFシリーズのテーマ曲。 作曲はドミニック・フロンティア。

 11「ウルトラQ」ウルトラ・シリーズの最初の1作目のテーマ曲。 作曲は宮内國郎。

 12「Xファイル」これもご存知のTVシリーズのテーマ曲。 作曲はマーク・スノウ。

 13「21世紀の精神異常者」この秋にも来日が決まっている不死身のプログレ・バンド、キング・クリムゾンの69年の名作『クリムゾン・キングの宮殿』からのナンバー。
このアルバムの収録曲はCMのBGMとしてかなりの頻度で使用されているので、プログレッシヴ・ロックなんてぜんぜん聴いたことないよ、って人でも耳にしている可能性は高い。

 14「残酷な天使のテーゼ」この曲は説明の必要ないよね。

 15「リング・ワールド」「火星人ゴー・ホーム」と同じく1stアルバムのシンセサイザー曲。
と言っても原曲は打ち込みを使わず、手弾きで、しかもドラムも入っていない。
のちにSense of Wonderでバンドで演奏するようになった。
気づいたら、この曲だけがかろうじて当時のSFで、あとはみんな50年代なのであった。

 

5 「夢中楼閣」

  僕の2ndアルバム「Party Tonight」(RVC)に収録。
小説版は短編集「飛行船の上のシンセサイザー弾き」(初刊、文化出版局、早川文庫JAで再刊)に収録。
自作の中ではお気に入りの1曲。
BMGのベスト盤CD「BEST Hits! 難波弘之」にも収録。

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6 「夏への扉」

  海外SF作家と作品に1曲ずつ捧げた1stアルバム「センス・オブ・ワンダー」(キング)に収録されている吉田美奈子・作詩、山下達郎・作曲の歌もの。
美奈子に「アルジャーノン」と2冊読んでもらったら、「こっちの方が好き」ということで作詩をお願いした。
当初、すべてゲスト・ヴォーカルのつもりだったのに、ディレクターに「自分のソロ ・アルバムなんだから、自分で歌え」と言われて、初めてヴォーカルを取った曲。
(他の曲は織田哲郎が歌ったりしている)山下達郎自身が気に入って、大ヒット・アルバム「ライド・オン・タイム」に収録した。
この1stアルバムは近年CD化されたが、せっかく手塚治虫のジャケットなのに表記されていなかったり、中島梓のライナー・ノートがカットされていたり、さんざんな再発になった。
 なお11月には難波弘之のソロ4枚「Party Tonight」、「飛行船の上のシンセサイザー弾き」、「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」、「N氏の天球儀」、及びセンス・オブ・ワンダーのバンドとしての2枚「シンフォビート」、「アクアプラネット」、がCDジャーナル社のマニアックな音楽誌「ストレンジ・デイズ」の企画として、BMG ファンハウスからリマスタリングしてCD再発売される予定。

 

7 「W3」

  「W3」は手塚るみ子プロデュースの手塚治虫トリビュート・アルバム「アトム・キッズ」(ワーナー)の1曲目を飾っている。
アルバム中のバージョンでは歌はYou、郁乃(ジャングル・スマイル)、人見元基(元VOW WOW)の3人という異色トリオ。 (ホントは女1人、男2人にしたかったのですが)
今夜のライヴ用にはソロ・ピアノのためのインスト曲としてアレンジした。

 

  コメント

○このレジュメでは難波のオリジナル・レコーディング曲に関しては難波弘之自身がライナー・ノートを、それ以外のカバー曲に関しては秋沢 豊がコメントを担当。
またカバー曲コメントを作成するにあたり門倉純一、小川隆、両氏に資料提供のご協力をいただきました。

○プログレス・レポートの告知にあったように、実行委員会はこのライヴの模様をインターネット配信する計画を進めています。コンテンツの編集終了をお待ち下さい。
URLは http://www.cute.or.jp/sf39/zerocon/ です。

"A Night of Wonder" Staff

難波弘之 (Key, Vo. & Music Director)

林 秀幸 (Programer)
北川 恭 (Engineer)

安藤啓介 (Manager)

あべ りょうぞう(Zero-CON実行委員会、記録、インターネット担当)
草柳大輔 (Zero-CON実行委員会、企画担当)

秋沢 豊 (Producer)


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