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Last updated Apr/04/2005

HAMACON2 プログレスレポートWeb版 Vol.1

HAMACON 2
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ヴェルヌ事情(1) 日本ヴェルヌ事情

―八十日間世界一周―

監修・横田順彌

第1回「明治初期」

本大会のテーマは「ヴェルヌが見た夢」
没後100年になるヴェルヌだが
初めて日本に紹介されたのは……?

 ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)は1828年にフランスのナントで生まれ、ジャーナリスト等を経て、63年に発表した『気球に乗った五週間』(Cinq Semaines en ballon)によって、世界的な人気作家となっていった。明治の初期、ようやく海外の文化を輸入し始めた日本人にとって、初めて触れた現役外国人作家の一人だったのは間違いないだろう。当時、翻訳された海外の小説のうち、最も多かったのがシェークスピア、次がヴェルヌであったと言われている。

 日本で最初のヴェルヌ作品にして、最初のフランス小説の翻訳となった『新説八十日間世界一周』(原題“Le Tour du Monde en quatre-vingts jours”)は、明治11年(1828)に「佛人シュル、ウェルス氏原著 日本 川島忠之助 訳」として、前編は自費出版(諸説がある)、後編は慶應義塾出版によって刊行されている。福沢諭吉の慶應義塾がこの本を出版した理由には、これまで日本にはなかった合理性や経済観念、そして世界の状況を実感させる絶好の啓蒙書と考えたためではないかとする意見は多い。
 フランス人技術者によって指導されていた横須賀製鉄所で学び、フランス語に堪能であった川島忠之助は、その後のヴェルヌ翻訳が英語版に拠ったものが多いのに対し、原著からの比較的忠実な訳であると評価されている。しかし、蚕産紙の欧州売り込みや横浜正金銀行リヨン出張員などの経歴をもち、文章家と言うよりも技術者か実業家だった川島の翻訳文は、良心的ではあっても堅い漢文調な上、世界情勢を把握しきっていない一般の日本人には理解しにくいものであったようだ。また、日本の未来がこの小説のように西欧化してしまうのではないかと危惧した人々の反発もあったと考えられる。出版関係者の期待とは裏腹に、一部を除いて注目されることはなかった。

 本格的なヴェルヌ人気が一般読者に広まるのは、この翻訳のしばらく後に、井上勤や森田思軒といった専門の翻訳家が、日本人向けの分かり易い文章での出版を始めてからのことである。だが、海外の知識を吸収しようとしていた、当時の若者に与えた影響は無視出来ないだろう。
文責・白土晴一


イラストコラム(1) イラストコラム

船戸明里「二年間の休暇」
イラストコラム(1)

見聞のぉと ワールドコン見聞のぉと

第1回 「2007年、電車で行けるワールドコン!」
線路が繋がっていない地方はゴメンナサイ

ワールドコン日本実行委員会

再来年、ワールドコンが日本にやってくる!
予習しておかなくっちゃ

 2004年9月、ボストンで開催された、The 62th World Science Fiction Convention <Noreascon Four>において、2007年に私たち特定非営利活動法人SF国際交流会が『The 65th World Science Fiction Convention <Nippon2007>』を横浜で開催する事が決定いたしました。
 2000年から、5年間に渡り行ってきた誘致活動は実を結ぶことができたのです。
 この開催権の獲得のための誘致活動については、オリンピックの誘致を例にとるとわかりやすいかもしれません。

 IOC(Interbational Olympic Committee)にあたる機関としてWSFS(World Science Fiction Society)が存在します。
 ファンの手により運営されるこの非営利団体は、ワールドコンの開催地を承認し、また、<World Science Fiction Convention>、<Worldcon>、<NASFiC(北米サイエンスフィクション大会)>などのコンベンションや、ファンの手でその年の最優秀SF作品に与えられる賞である<Hugo Award(ヒューゴー賞)>といった名称もサービスマーク登録し、管理・運営しています。
 世界中のSFファンの祭典であるWorld Science Fiction Convention(以下ワールドコン)を誘致しようとしている各地の委員会は、毎年のワールドコン開催中に毎日開かれているWSFS主催のビジネスミーティングで立候補を表明し、ワールドコン参加者に対してプレゼンテーションを行います。開催地はその開催年度の3年前にワールドコンの参加者の投票により決定するからです(2004年に規約が変わり、2年前の投票になりました)。立候補地の委員会はパーティーを開いたり、会場でブースを持ち賛同者を集めたりして誘致活動を行うわけです。
 私共も、毎年のワールドコンだけでなく、米国各地で開催されているローカルコンベンションに出向き、パーティーやブースを持ったり、コンベンションにボランティアスタッフとして協力するなどして、誘致活動に勤めてまいりました。
 誘致にあたっては、米国始め世界各地のファンが無償の協力を申し出てくれ、エージェントも勤めてくれました。言語、習慣の違いなどを乗り越えて、開催を勝ち取れたのは、彼らの協力のたまものと言っても過言ではありません。
 また、国際観光振興機構、横浜コンベンションビューローなどの、公的機関の支援も強力な後押しになりました。

 <Nippon2007>は“電車で行けるワールドコン”です。そして同時に第46回日本SF大会でもあります。みなさん参加の参加をお待ちしております!

ワールドコン豆知識

●コンスイート
 フリーの軽食・飲物が置いてあるラウンジ。スイートと名前がついているが、参加者なら誰でも使用できる。

●レストランガイド
 委員会が作成する小冊子。会期が長いので無いと飢え死ぬ。

●サイトセレクション
 開催地を参加者の投票で決める制度。数年後の大会まで熾烈なご当地自慢が繰り広げられ、夜はパーティが乱立します。

●ボート(VOTE)
 VOTE=投票。サイトセレクションに投票すること。

●ビッド(BID)
 サイトレクションのための誘致運動。テーブルでお店開いたり、パーティ開いたり。

●マスカレード
 コスプレ寸劇コンテスト。土曜日の夜に行われる。ワールドコンの目玉のひとつ。

●ブードゥーボード
 伝言板システム。張り出されたリストの名前にピンを差して伝言の有無を示す。今の日本ならケータイがあるからいらない?

●朗読会
 プロ作家が“執筆中の作品”を出来てるとこまで自ら読んでくれる。すげえ!


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