Written in Japanese.
Japanese fonts required to view this page.
Sorry, no English page.
Last updated May/21/2005

HAMACON2 プログレスレポートWeb版 Vol.2

HAMACON 2
  HAMACON 2 > プログレスレポートWeb版 Vol.2 > 「ライトノベルの地平より」

水野コラム 「ライトノベルの地平より」
水野良
Ryo Mizuno

自身、SFファンダム出身という水野良氏。
SF大会のゲスト・オブ・オナーに自分のような若輩者が……、と恐縮されるのを、“ライトノベル作家の代表ということで”と口説き落としたわけですが。
さて、ライトノベル作家の立場から見たSF、そしてSF大会とは……

 ご指名によりゲスト・オブ・オナーの大任を務めることになりました水野良です。
 私のような若輩者がと恐縮しておりますが、引き受けた以上は全力で役割を果たすつもりでいます。どうか、よろしくお願いします。
 とは言っても、いったい何をすればいいのか、まったく分かっていないんですけどね。ほぼ毎年参加しているアナログゲームのコンベンションのように、ファンの皆さんと雑談したり、ゲームで遊んだりできたら楽なのですが……
 そういうわけにはゆかないのかな?
 どうやら、私はライトノベル作家の代表ということだそうです。そういえば、ここ数年で、ライトノベルという言葉も、ずいぶんとポピュラーになってきたものです。
 もっとも、具体的な定義はよく知りません。角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫、さらにはメディアワークス電撃文庫などで出版されている作品がライトノベルだと理解しているのですが、もしも間違っていたらごめんなさい。
 たしかなことは、ライトノベルとSFとは相性がよいということでしょう。
 私自身、SFのファンダム出身で、学生時代はまじめにファンダム活動やってました。ロールプレイングゲームにはまったのも大阪で開催されたSF大会がきっかけですし、ライトノベルを書き、ゲームデザインの仕事をしている現在でも、SF的なものは無論、好きです。
 今年の新春にアニメ化された『スターシップ・オペレーターズ』も本人はスペオペのつもりで書いていますし、総監修をしてます『ギャラクシーエンジェル』も、背景世界の設定とSF考証がおもな仕事だと思っていますから。異論はいろいろあるでしょうが……。
 私だけではなく、ライトノベルの作家仲間はSF&ファンタジー好き、ホント多いですよ。嫌いっていう人のほうが、例外じゃないかなぁ。ライトノベル作家出身で、本格的なSFを書く人も出てきましたしね。
 今後も人材の交流は進んでゆくでしょうし、双方にとって有益だと思います。
 ところで、ライトノベルは「読者が自分のお小遣いで買って読む最初の小説」を目指さなければならないと思っています。
 これはもともとSFの役割だったはず。ジュブナイルというと死語っぽいですが、昔は間違いなくSFのサブジャンルのひとつだったわけですから……
 玄関がなければ、どんな立派な建物にも入れないわけで、こういう役割は大切だと思うんですよ。
 ライトノベルはジャンルを横断していますから、そこから本格的なSFやファンタジー、ミステリーや一般小説の読者になる人も大勢いるはず。もっとも、そう簡単に読者に卒業されたら大変なので、我々も日々、進化を求められるわけです。
 あるいは作家のほうもライトノベルだけにとどまらず、活躍の場を広げていっているわけです。そういう意味では、ライトノベルは多様なジャンルのクリエーターの登竜門にもなりつつある。
 現実の問題として、毎年、何人もの新人作家が入ってくるわけですから、ベテランも油断していると追いだされてしまうわけです。結果、ライトノベル作家はスポーツ選手と同じで、内容もさることながら、結果を求められることが多くなります。
 雑誌の人気が高いほうが偉い、作品の出版部数が多いほうが偉いという風潮は、間違いなくあると思っています。
 読者が支えてくれるからこそ、私たちは仕事を続けることができる。しかし、残念ながら、ライトノベル作家がファンと交流する機会って、あまりないんですよね。サイン会を開いてもらったとしても、一瞬、顔を合わせてひとことふたこと会話を交わすだけですから……
 そういう意味で、SF大会のようなライトノベル作家とファンとが間近で交流できる機会はとても貴重ですし、個人としてもとても楽しみです。
 微力ではありますが、ライトノベルの作家仲間がひとりでも多く大会に足を運んでくれるよう、宣伝活動するつもりでおります。
 また、ライトノベルのファンにも大勢、大会に参加してもらえたら嬉しいかぎりです。SFに出会うことで、私のように運命が変わることもあるかもしれませんから……
>> 目次に戻る


© 第44回日本SF大会HAMACON2実行委員会
© 2003,2004 特定非営利活動法人 SF国際交流会
Japanese Association for Science Fiction International Communication (JASFIC)
All rights reserved.