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Last updated Jul/13/2005

HAMACON2 プログレスレポートWeb版 Vol.3

HAMACON 2
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イラストコラム(3) イラストコラム

小原慎司「月世界旅行」
イラストコラム(3)

ヴェルヌ事情(3) 日本ヴェルヌ事情
―海底二万里―

監修・横田順彌

第3回「東の果てへの浸透」

いくども翻訳された「海底二万里」、
世界の広さを知った日本人の心にしっかりと空想科学の種を蒔いたのであった

 日本では「海底二万里」と呼ばれるジュール・ヴェルヌ作「Vingt mille lieues sous les mers: Tour du monde sous-marin」は、上巻は1869年(明治2)、下巻は1870年(明治3)に発行されている。
 日本語への翻訳では、1880年(明治13)に鈴木梅太郎によってフランス語原典から訳された「二万里海底旅行」が最初であるが、未見であり、現在も調査中である。現物で確認出来た中では、1884年(明治17)の井上勤訳「六万英里 海底旅行」が最も古い。わざわざ「六万英里」(本来、フランスの単位である二万リューが正しい)とされているところからも分るように、英語訳を重訳したものである。
 「八十日間世界一周」や「月世界旅行」「十五少年漂流記」等とならぶ名作であるだけに、同じ年に「五大洲中 海底旅行」(上巻は大平三次訳、下巻は覚張栄三郎訳)、1911年(明治44)には「奇々怪々 人さらい船」(翻案 有本樵水)、1913年(大正2年)に「海底旅行 六萬哩」(翻案 緑冠郎)が次々と発行され、昭和に至るまで何度も翻訳されている。
 特に注目したいのは、日本SF黎明期の作品に対する影響だろう。無論、この「海底二万里」だけではないが、1890年(明治23)に発表された矢野龍渓「報知異聞 浮城物語」や1900年(明治33)の押川春浪「海底軍艦」は、その波乱に富んだストーリーテリングや次々に登場する新兵器など、その影響は決して小さいものではない。
 こうして考えると、明治の日本人に対するヴェルヌの影響力には独自なものがあると考えられる。世界中で愛されている彼だが、日本においては単に人気作家というだけではなく、それまで知らなかった世界の大きさを感じさせ、翻訳小説という分野を意識させた海外作家の一人であり、明治SF作家の一人であったと言えるのではないだろうか。明治20年を過ぎると、明治のヴェルヌ・ブームは一旦終息するが、その娯楽性やストーリーの面白さ、科学に対する眼差しなど、日本人に与えた影響は消えることはなかった。
 ジュール・ヴェルヌは1905年(明治38)3月24日に没している。「慶應義塾学報」(89号 明治38年4月15日)には「科学小説家ヴェルヌ逝く」と題する訃報があり、「彼が小説の特色は科学が将来に於て発達す可き理想を示した雄大なる結構にあるが、その他血を流す残酷悲惨な事や、女々しい愛情など微塵もないサッパリとした点も一部の読者を吸引した」と評されている。
文責・白土晴一


見聞のぉと ワールドコン見聞のぉと
第3回 「リボンの貴方」

ワールドコン日本実行委員会

リボンはワールドコンにおいては名誉のアカシ!
何本もらえるか競うのだ!

 ワールドコンに行くと、よくネームプレート(名札)の下にリボンを付けている人たちを見かけます。
 幅5センチ長さ15センチほどの縦型や、ネームプレートの幅の横型など形も色もとりどりのこのリボンにはちゃんと意味があります。そのリボンにより、付けている人がそのワールドコンでどのような役割をしているのかや、ファンダムへの貢献度がわかるようになっているのです。
 大会のロゴやマークが入った公式な物としては、委員会のメンバー、企画の出演者、アートショーへの出品者、ディーラーズルームにお店を出している人、ボランティアなどその時の大会との関わりを示すものだけでなく、過去のチェアマン(委員長)、ヒューゴー賞の受賞者達など、色や肩書きの違う物が十数種類発行されます。
 警備担当者も、リボンの色で楽屋やオープン前のディーラーズルームなどに入れる人かどうかを判断することができますので、運営上も重要な意味があるのです。
 私達、Nippon2007のメンバーは、エキジビジョンホールでプレサポートの受付やプロモーションを行っていましたので、EXIBITORのリボンを貰って、開場前にホール内に入って準備をしたり、VOLUNTERのリボンをつけて大会のお手伝いをしたりしていました。
 リボンの中にはプライズリボンという特別な物がいくつかあり、ボストンの大会で私達のメンバーの一人がHOLL COSTUME WINNERのリボンを獲得しました。
 公式な物だけでなく、参加者が勝手に作って配っている冗談リボンとか、ワールドコンに立候補している地区が応援者に配っているリボン、地方コンベンションを宣伝するリボン、などもありますが、これらには大会のロゴが入っていなかったり、公式のリボンが縦型なら横型にしているなどひと目で大会発行のものと区別が付くようになっています。
 リボンの意味するところが判ってくると、あ、この人はたくさん付けているから貢献度の高い重鎮だとか、地方コンベンションの主催者だなど、認識する事ができますので便利です。
 「もう、この大会はこき使われて忙しくて」などとリボンをたくさん付けた作家の方が嬉しそうにぼやいているのを見ると、ああ、この人は本当にコンベンションやファンダムが好きなんだなぁと嬉しくなります。
 HAMACON2でも数種類のリボンを用意しました。乞うご期待。

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